こんにちは、くらためです。
介護に追われ、仕事に追われ、子育てに追われる女性たちが増えていますね。そんな人々のニーズに応えるサービスが続々と登場している昨今。
その道のプロフェッショナル、スゴ技家政婦が脚光を浴びています。
タサン志麻さん(39歳)は料理専門の家政婦です。
3時間でおよそ1週間分の料理を作り、金額は7,800円。
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも紹介された、そんな伝説の家政婦の過去と今、そしてプロとしての仕事論が魅力に満ち溢れています。
楽しみにしていたのよ〜
家政婦の仕事
有償で、勝手を知らない他人の台所で料理をするのが料理専門の家政婦。
和洋中ならなんでもいい、主人のリクエストで日本酒に合うおつまみを作って欲しい・・・そんな感じでリクエストを受ける志麻さん。
何が揃っているか器具も材料もわからない中でも、料理を始めるその手に迷いはありません。
牛肉の赤ワイン煮込み、鶏肉と蓮根の煮物、サーモンの酒蒸し、イカとナスのトマト煮などがどんどん出来上がっていきます。ジャンルを問わず頭に入っているレシピは600以上!
はちみつがなければジャムを使う。即座の判断の連続の日々で、応用も効くのです。
もともと、3つ星レストランで修行し日本の名店で15年間働いた料理人。
でも今生み出すのは、「その家庭だけの味」なのです。
叶えたい風景がある
例えば訪れた家庭で煮物に味付けをするとき、砂糖の塊具合を見て使用頻度を予想する。きっと甘さは控えめなんだろうなと推測し、そこにあるだしや醤油を使う。
その家の好みの味で作る、家の味を作るということにこだわっているのです。
わずか3時間でその家族のために13品が出来上がりました。噂の週末まとめて作り置きですね。料金は7,800円。ちなみに食材はあるものを使うのでこれは料理することへの対価です。
冷凍できるもの、冷蔵保存のものというようにその週に食べられるように彩り豊かに並ぶ料理は圧巻です。これでしばらく料理が楽になるなら安いです。
年間500件を受ける志麻さんは、依頼を募集するとわずか数分で埋まります。
依頼の大半は働きながら子育てをする母親。仕事と家事、子育てで負担ばかりの毎日。夫の帰りは遅く夕食はいつも別。食事を巡り喧嘩をすることもある・・・
紹介されていたあるご家族にとって、この日はお子さんの誕生日という特別な1日だったのです。
でもどうしても外せない仕事があり家政婦に頼らざるを得ない。そういう状況って本当にありますよね。クライアントも社内会議も出張もあなたのお子供の誕生日なんて関係ないのだから。
そして志麻さんはケーキとミートローフを焼く。ご主人の好きなコールスローを作る。家族はそれを囲んで誕生日を祝う。
志麻さんには叶えたい風景があります。それは家族をつなぐ食卓です。
「働く母親は本当に忙しい。朝はバタバタ家を出て流しに洗い物を突っ込み、帰ったら子供はお腹をすかせていて食事を食べさせる。時間がないのです」
家族でゆっくり食事を楽しむ時間が得られるなら、幸せにつながる。そういう手伝いをしたいというのが志麻さんの仕事の動機なのです。
そして、お母さんと一緒に帰宅した子供は「志麻さんに会いたかった〜」と泣き出します。人気者なんですねっ(´∀`)
家政婦を依頼し始めて2年、すれ違いのあったご家族の食卓には変化があったそう。
ご主人との喧嘩がなくなり一緒に笑顔で食べられる時間がありがたいとお母さん。家事代行マッチングサービスはもはやなくてはならないものになっているのですね。
叶えたい風景が、ちゃんとそこにありました。
母のように家族を思う
家政婦として目指す境地、それは母のように家族を思うということ。
「お母さんがエビ団子と作ると言った時、この子にはまだ固いだろなとかそういうことまで考えて作ると思うのです。
でも誰もそこに「すごいね」と言ってくれる人もいないでしょうし、普通にやるのが当たり前だと思われていると思うんですけど、本当にお母さんが普通に家族のためにやっていることが、なるべくそういうところまで自分で思えるようになれたらいいなと思っています。」
私には子供がいないから正直そのあたりはよくわからないけれど、相手を思って仕事をするということの意味はわかる(できてないけど)。
結局、それがないとなかなか結果がついてこないんですよね・・・
迷い、逃げ出した先に見えるもの
ところで、39歳の志麻さんには24歳のフランス人の夫と7ヶ月になる男の子の赤ちゃんがいます。「料理人だから厳しい〜」と妻を見つめる15歳年下のご主人がお茶目!
作り置き上手だけに、朝ごはんからめちゃくちゃ豪華だったな〜。
ご自宅も志麻さんのお好みだという古民家風でいい味ですね〜。
そんな幸せいっぱいの志麻さんですが、この日は誕生日で、調理学校時代の同級生のお店に食事に来ている様子が紹介されていました。
そして、振り返る過去。
同級生が店で働く様子に、以前は「私、何やっているんだろと思った」と言います。フレンチシェフから家政婦になったことに負い目があり、誰にも言えなかったそうです。
逃げ出した過去があった、と続けます。
志麻さんは子供の頃から料理好き。高校卒業後は辻調理師専門学校、そしてフランスへ留学。
でも全然ダメで一人だけついていけない。だから人一倍に努力をし3つ星レストランで研修に参加できるまでに。
そんなある日、心動かされる発見があったそう。
友人に招かれたホームパーティーで見たのは、かしこまったフレンチのイメージとは程遠い、温かく賑やかな食卓でした。会話の絶えない食卓、その場を楽しむ時間。
こんな風に人を笑顔にする、そんな料理が作りたいと思ったそうです。
その後は、帰国して都内屈指の高級フレンチに就職し、朝から晩まで身を削るように料理に打ち込みます。お母さんは火傷や水による手荒れでボロボロになる志麻さんを見て、辞めればいいと思ったそう。
でも絶対に泣き言を言わなかった志麻さんは、わずか1年でナンバー2になり、凄腕の女料理人として将来を嘱望されます。
しかし志麻さんはそこで料理が好きすぎて、人に厳しくなってしまうのです。遅刻する人、怠ける人が許せない。もっと美味しい料理が作りたいと打ち込めば打ち込むほど満たされない思いが募る・・・
3年経ったある日、志麻さんは突然店を辞めます。
とはいえ、他の店に行ってもなお苦しみだけが深まる。「孤独だった」と当時を振り返る志麻さん。
「やる気のない人やテンションが低い人を蹴散らし、ダメだと思ったら相手にしない、口もきかない。」と当時を知る方もお話れています。
フランス料理が好きで一生懸命勉強したが、自分は一体何がやりたいのか・・・何もかもわからなくなり、10年働いたその店も突然辞めた頃、ご主人と出会い、結婚。
妊娠するも生活に余裕がなく、身重の体で働ける仕事を探して見つけたのが家政婦だったのです。掃除に洗濯、ペットの世話。なんでもやった。なぜ私はこんなことを・・・と思いながら。
そして志麻さんは妊娠3ヶ月で流産をしてしまい、大きなショックを受けながらも仕事を続けていたそうです。
仕事に誇りが持てた瞬間
そんなある日、仕事で出かけた家庭で料理を作ります。じゃがいもとひき肉を使ったパルマンディ。レストランで出すことのなかったフランスの家庭料理です。
そこで思いもよらない反応が返ってきました。
「どれも本当に美味しくて会話が弾む、仕事の疲れが吹っ飛ぶ!」
それをきっかけに、あのフランスでの賑やかな食卓の風景を思い出したのです。あの時に見た笑顔の食卓を私には作れる!家族の体調や気分に気を使い料理が作れる!
実際に作った料理は喜ばれ、評判が評判を呼びます。目の前の喜びこそが追い求めていたものだったのです。
「食べてもらう人のことを一人一人想像して作れるというのはものすごく幸せなこと。家族のために作っているような気持ちで料理ができる。」と志麻さんは言います。
これを機に自信を持って「今 私はこういう仕事をしている」と、誇りを持って言えるようになったそうです。志麻さんのプレミアムな作りおきも出され、評判はうなぎ登り、まさに伝説に。
そして去年、待望の出産。育休と産休を経て2月に仕事復帰されました。
自らも母となり、そして多くの母を支えていく志麻さんは言います。
「本当はお母さんたちだって自分で作りたいはず」
だけど本当に忙しくてできないから頼んでいるわけで、自分にだったら頼めるというサービスを提供したい。
それで子供の一緒にすごくゆっくりできたり、そんな時間を届けてあげたい。それによってお母さんが自分らしく生きることができれば・・・
実際に依頼されたお母さんたちの表情は明るいのです。
「志麻さんはなんとか家族で楽しい時間を作り出すための、自分と夫ともう一人家族になる。頼っていい人。」
核家族で共働きが大半になっていく中、頼れる人がいるということがどれほど大きな意味を持つか。考えさせられますね。家政婦を雇うなんて〜とかいう外野の声、マジほっとけ!
そして志麻さんは今日も依頼された家庭の子供の健康を気遣い、苦手なほうれん草入りをこっそり忍ばせたハンバーグを焼くのです。
プロフェッショナルとは
仕事はもう一人の家族。だから相手を、思う。
相手のことを思って、なるべくそのひとたちが喜んでくれるような、元気になるような食事を作る。
それが志麻さんの考える、プロの仕事なのです。
おっと、感動のあまりすべて記憶と記録にとどめたくてすっかり長くなっちゃいました。余談だけどファッションもボーダーやタートルでミニマルで可愛かった!
月曜から自分の仕事への考え方の甘さと適当さをしみじみ感じましたね〜。目の前のことをやっつける日々ですし。
それにしてもタスカジ、その名前を大きく出してはいないけどすごくいい宣伝になっただろうなあ。家政婦さんを頼むことへの興味が増しました。
とりあえず今夜は、相手を思って元気になるような料理をしよう。
最後までお読みいただきありがとうございます。