こんにちは、くらためです。
突然ですが、『コビトモンスター』ってご存知ですか。
インスタグラムで話題の1コマ漫画です。
その人気のあまりにお声がかかったのでしょう、4コマ漫画としてSNS系情報サイトkakeruに連載をされています(現在は産休中)。
なぜそんなに人気なのか。なぜ面白いと思うのか。触れてはいけない闇を覗き見るような感覚におののきつつ、考えてみました。
ポイントは「無傷で共感を得る快感」です。
目次
コビトモンスターってなに?
とても魅力的な漫画なのです。 スルドイ視点とヘタウマ系の味のあるイラストにファンが多く、3万人近いフォロワーさんがいらっしゃいます。
コビトモンスターとはこの漫画の主人公。設定もあります。
以下はkakeruオンラインから抜粋しました。
人間を見るとその人のSNSアカウントと隠している本心が透視できてしまうモンスター。そっと近寄って心のスキマを埋めてくれる。羽の生えた中年の猫という込み入った設定だが、その由来はまったく不明。
誰が描いているの?
「とんちガール」さんという、大阪府出身在住のOL兼イラストレーターの方が描いていらっしゃいます。
人間観察が趣味で、完成されたモデルより読者モデルやインスタグラマーなど素人の生態に以上に興味を持つそうです。
言葉のセレクト、ストーリーの展開からも頭の良い方なのだろうな。実際にお話ししたら面白いのだろうな。
第14話でもうすぐ出産されることを報告されています。おめでとうございます!
(追記: 無事ご出産されたそうです。おめでとうございます!)
人気の理由『モヤモヤがスッキリ』
Yahoo.com
コビトモンスターは、誰もが持つ負の感情を言葉にしてくれます。
その対象はSNSで自らの私生活を晒け出す一般人。例えば読者モデル、フォロワーの多い主婦、やたらお金持ちな人やオシャレっぽい人ですね。
「SNSを見るとモヤモヤする」とはよく言われること。
リア充満載、おしゃれ満載の投稿に嫉妬と嫌悪が入り混ざった得体の知れない感情が湧きおこる人も少なくありません。
嫉妬じゃなくて滑稽なだけだ!と憤慨されそうですが、とにかく充実してる(風の)人が気になって仕方がないのです。
嫉妬心を解消してくれるツール
そういう負の感情っておおっぴらに人に言えなかったりしますよね。すると余計にモヤモヤが膨らみます。
そこを見事にクリアに表現してくれるコビトモンスター。
ヘタウマ系のイラストと絶妙なツッコミ(一人語り系)で、インスタグラム状のあるあるネタを取り上げます。
そうして膨らんだドロドロした感情を見事にぶった切ってくれるから、読んでいてスッキリ痛快!となるのでしょう。
わかるー、そう思っていました、面白いという共感の声が止みません。コビト、サイコー!ってなわけです。
安全圏内で人を落とす
コビトモンスターに、自分の想いを語ってもらう。そうしてスッキリする我々人間。
まさにSNS界の風刺漫画です。
風刺とは、個人の愚行,政治の欠陥,社会の罪悪などに対する批判や攻撃を,機知に富んだ皮肉,あざけり,あてこすりなどの形で表現した詩文(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)。
調子にのるインスタグラマー
例えば、お互いにフォローし合っていた人いたとします。
どんどん人気者になってしまい、頻繁にやり取りしていたコメントも途絶えてしまった。しかもその人はバンバン企業からの提供品のPRもしちゃったりして。なんか、モヤモヤ…
するとコビトモンスター(というかとんちガールさん)は、こう語ります。
「なんだか遠くに行ってしまったような気がして寂しくなっても、一時期調子に乗ったように見えるかもしれませんが、暖かく見守ってあげましょう。」
なるほど、そうですね。
「調子に乗っている」と、人から言われたら嫌であろう一言でディスることで、自らのモヤモヤを沈める。名アドバイスです。
オシャレすぎるインスタグラマー
素敵なインテリアに囲まれて、おいしそうな料理がひたすら並ぶ。
そんなインスタグラム投稿は本当に多いです。
コビトモンスター(っていうかやっぱりとんちガールさん)は、こう語りかけます。
「どうしてあんなにお洒落なんだろう?と思ったことはないでしょうか。 自宅なのにランチョンマットや香草などを使って彩りを添えたりと、きれいな部分だけを切り取って載せている人も多いはず。
でも、そもそも見栄えを気にする必要ってあるんでしょうか?(中略)インスタのための生活もほどほどにしてみませんか。」
さすがですね。やさしいアドバイスに、心からの気遣いを感じます。
気になるとすれば、自宅なのにランチョンマットを使ったりハーブが出てくる、という表現。
そういうのってそんなに特別ですかね?こんな田舎でも割と普通なんですが。
この程度が見栄というコビトモンスターの発想に驚きです。インスタグラムのために敷いてるわけじゃないでしょうに。
風刺というのは、描き手と読み手、個々人の暮らす環境や時代によって共感度合いも変わるところがおもしろいですね。
がんばるインスタグラマー
インスタグラムの写真はどれもおしゃれで、投稿を躊躇してしまうという方もいるでしょう。私も基本操作を含めうまく使いこなせないでいます(恥)。
そんな民に、コビトモンスター(というかとんちガールさん)はありがたいお言葉をくださいます。
「他の人のレベルの高い投稿を見るとついつい自分もやってみたくなってしまうのではないでしょうか。 でも、がんばりすぎず息抜き程度にするのがちょうどいいと思います。」
そうですよね。レベルの高い写真やネタを探し求めるなんてむずかしいですし。気楽が一番。
…ってコビトモンスターが一番ががんばっているんじゃないか?
しかもマネタイズしてるし。
安全圏内で人をあざ笑う
常にあるあるネタを探し求めて、SNSの闇を暴くべくインスタグラマーの習性を面白おかしく皮肉るコビトモンスター。
自らは決して安全なところから出てこないで、他者を理解し他者と繋がろうとするという風刺の基本をしっかり押さえたエンターテイメント性のある漫画です。
その点はヘイトとの大きな違いで、深い興味と愛あればこその表現方法。
読み手側も、無傷でただクスッと笑い共感者を得ることでモヤモヤを解消できます。
だったら最初からインスタグラムなんて見なきゃいいのにという、余計なお世話は置いといて。
今後にも期待!
でも、こういうの描く側は大変だろうとお察しします。
ただでさえひとつのことを続けるのは大変。
それに加えて、人の粗探しをし続けること、そして自分が反撃されないギリギリのラインでオブラートに包んで表現することは、大変骨の折れる作業でしょう。
ご出産されて、今後はママ系インスタグラマーさんへの視線も一層鋭くなるかと思いますが、コビトモンスターもとんちガールさんもどうかがんばりすぎずほどほどに…と願ってやみません。
最後までお読みいただきありがとうございます。